播く・歯科・服

一昨日は一日中だるかったが、夫といっしょにやる約束をしていたので身体に鞭うって、ベランダに生えていたナス、ししとう交雑ピーマン、トマトを抜き、跡地に豆の種をまいた。種がなにかの薬をまぶされていてマリンブルーみたいな色をしていたので、封を切ったとき驚いた。そのあと、さらに自らの尻を叩いてコーヒーテーブルのやすりがけのつづきをした。日記に前回やった日の記録が残っている。わたしは恐ろしいので見返さないが、1ヶ月以上は前ではないか。夜は疲れ果て、早めに寝た。

 

昨日は午前中に歯医者に行った。半年に一度の定期検診で、よく磨けていて歯石もありませんが歯茎から血が出るところがあります、とのこと。ときどき右下奥歯で煎餅のかけらや粗挽きパン粉のガリガリに揚げたフライなんかを噛んだときに、歯とつめものの間に尖った小さな硬いものが突き刺さり、一瞬だけだが痛むので相談したが、歯科医はさらに奥の親知らずが伸びているせいでしょう、抜くか様子を見るか考えといてくださいと言った。急に親知らずの抜歯をする勇気はなかったし、ときどきちくりと痛いだけなので、すぐさま様子を見ることに決めた。ここの歯科医院ではうがいをするときと検査の結果を見るとき以外は目元にタオルをかけられるので、歯科医の顔を実は知らない。歯科医は奥歯の相談をしたときも、目にタオルをかけっぱなしで説明していた。声からすると、たいしたことねえからガタガタ騒ぐなと言っているようであった。

冷たい強風の中、自転車で帰ってきたあと、どうもぼんやりしてしまい、晴れてはいたしまだ時間も早いからなにかしようかなと思ったものの、結局日が落ちきって買い物に行くまで、Netflixスマホの無のゲームを往復するのみであった。

PMSにはまだ早い。やはり気圧とかのせいなんですか。おかげで二日間、日記どころかいろいろなアドベントカレンダーも書けなかった。地球には、わたしがPMSじゃないときは高気圧でよろしく頼みたい。でないと常になんにもできない人間ですよ、いいんですか。

 

今日は今日で午前中は丸々寝ていた。

半日は雨が降っていて、一日中寒かった。庭のモミジが半分くらいいっきに葉を落とした。去年の冬植えたもので、わたしの肩くらいの小さなものだ。しかもそんなに日当たりのいい庭でないので、赤みも中途半端なまま落ちてしまった。

 

昨日と今日で「ネクスト・イン・ファッション」を最後まで観た。とても面白かったのだ。ひさしぶりにシーズンを一気に観られるものに出会った。ここ数年は長いものは小説でもアニメでも漫画でも集中力が続かず、短いものを好むようになっていたので、ドラマやシーズンものには手を出しにくかったのに。

特にリアリティ番組が好きなわけでも、オーディション形式の番組が好きなわけでも、ファッションに特別な興味があるわけでもないが、番組の作り方がいいのか、服を作っている人たちの凄さ、服作りの奥深さ、難しさがよく伝わってきたし、展開もドラマティックだった。ベスト4にまでなると、素人のわたしが見てもどの人にもそれぞれのよさがあるとしか言えず、優劣はひどくつけにくい。最終的には、優勝者はNET-A-PORTER(高級ファッションの世界的なネット通販サイト)で売られるということが決まっていたので、そこで売れそうな高級感と目新しさがある人のコレクションが優勝していた。

それにしても最終対決は十着のコレクションを三日間で(裁縫師が三人つくが)仕上げるというもので、素人にはどうしてそんな芸当が可能なのか意味不明ですらあった。ファストファッションの世界ではアイディアから出来上がりまで一日で終わると聞いたことがあるが、この番組の作品はあくまでハイファッションで、なにかを真似したようなものは一切許されないのである。決勝に至るまで、他の有名なブランドのコレクションで見たことがある、というものは容赦なく批判され、それが致命的で落とされている人がちらほらいた。

服というのは誰でも毎日着ているから、どんなに素人であっても服に対してなにかしら思うところがあるだろう。たとえ「服はどうでもいい」と思っていたとしても、どうでもいいながら、今日その服を着ていることにはなんらかの選択と考えがある。絵や本や映像作品にはまったく触れない人間だっているが、服を着ない人間は(裸族の引きこもりというひとはいるかもしれない)ひとりたりともいない。優勝者はファッションをアートだと思っていると話していたが、誰もがそれに対して無関係ではいられないという意味で、珍しいアートだ。だから新しいことをしたり見つけたりするのもより難易度が高いだろうと思う。ほんとうにすごかったしおもしろかった。

しかし、「ネクスト・イン・ファッション」という番組は1シーズン限りでもう作られないようだ。あんまり人気がなかったのだろうか、25万ドルという賞金を毎シーズン集めてくるのは無理だからだろうか。それだけがちょっと残念だった。