テレビドラマの跡地にて・ニキビの位置・夢

思えば最近、「真夜中のミサ」「映像研には手を出すな!」「ネクスト・イン・ファッション」とシーズンものやドラマばかり観ている。長いやつは集中力が続かないからなぁ、などと枯れたつもりでかっこつけていたが意外といけるのではと、気になっていた日本のドラマも観てみることにした。「大豆田とわ子と三人の元夫」を。

一話目を観た。おもしろいんだが、大豆田とわ子が網戸をはめられないのが気になってしょうがない。溝にはめるだけじゃん、なんの道具も専門技術もいらない。最初は、まあそういう人もいるか、なんかおっちょこちょいな人みたいだしと納得しようとしたが、なんとこの人、工務店(住宅メーカー?)の社長である。えっ、住宅には詳しいのでは!? 網戸くらいどうなってるかわかるでしょうに、わたしだって素人だがわかるぞ、こちとら素人だてらに網戸の張り替えだって一人でやる。なんでいっしょに住む男がいないというだけで網戸がはめられないんだ? たとえ非力だったとしても、そのじゅうぶん育ってる娘さんと協力すればすぐだって! とドラマの主人公に偉そうなアドバイスをしそうになったが、社長というのは経営のプロなだけで、べつに住宅の中身や作られかたに詳しいわけではないのかもしれない……といまいちど落ちつかせる。落ちつかせたが、十数分後にとわ子が図面をひいている場面が出てきて、いややっぱ網戸ははめられるよあなた!と心中で叫んでしまった。網戸修理の業者とお風呂修理の業者っていっしょかな? みたいなセリフまであって、いやぁ知らないわけあるまい……どういうカマトトなんだ……。

しかし、脚本を書いている坂元裕二さんの以前の作、「カルテット」がとても好きだったし、大豆田とわ子も展開自体は飽きずに見られて楽しい。こうホイホイとツッコミを入れながら見れるというのはもしかしたらテレビドラマとしてはとても優秀なのかもしれないし。誰も(あるいは家族や同居人くらいしか)聞いていないところで勝手なことを言いながら観るのが、テレビの醍醐味だ。

それにしてもわたしは流行ったコンテンツでも文芸でもなんでも、それがもっとも盛り上がっているときには関わらず、あとから観たり読んだりして、もう誰もいない場所でひとりでブツブツ言っているようなところがある。イカゲームとかも一、二年は寝かせるでしょうね。

 

首にニキビができた。痛くて大きい、赤いやつ。大人になるにつれ、ニキビはおでこからだんだん顔の下に移動してくると聞くが、中年になると顔から外へ羽ばたく。そこはもう顎下ではない、首だ。胸元のニキビは二十代でも悩まされたから、鎖骨あたりで合流していくのかもしれない。

 

実は昨日の夜、夢を見て、しかも覚えている。

覚えているのは珍しいので記録しておく。しかし、おもしろいというより酷い夢だった(人が死にます)。

友人と川のほとりの喫茶店に入る。広くて天井が高く壁は真っ白で、二人で来ているのにテーブルは一人席の小さいものが列をなして並んでいるだけで、友人とは離れ離れに案内されてしまう。メニューが出てくる。英語と国語、どちらのテストを受けたいかとメニューを指先しながら給仕がたずねる。ここは教室なのかと気づく。国語のほうが得意だしなぁとメニューに載せられた試験の例題を見るが、国語のほうはすべて癖のある手書きで作られていて、読むことすら難しい。友人と目配せをして、席料(まさか席料があるなんて)だけを払い、外に出る。

いつのまにか友人は大きなクッションで全身を覆われている。というかクッションの着ぐるみを着ていて、歩くクッションをやっている。わたしは嬉しくなって、友人を横抱きに抱え、足取り軽く進むと、不意に空から赤ん坊が落ちてきて、友人の腹に着地する。赤ん坊はぐんにゃりと生暖かく、落ちたのに平気で眠っている。驚いているうちに、数メートル先にもうひとり、こんどは大人が落ちてきて、地面に激突する瞬間、わたしは目をそらす。聞いたことのないような大きな破裂音。