合体石鹸・妖精のひげ

体を洗うのは石鹸派で、石鹸素地100%みたいなのを好む。しかしときどきオマケやノベルティでちいさな石鹸を手に入れることがあり、いつもの石鹸にむりやり合体させて使ってしまうのだが、これがうまくくっつくやつとくっつかないやつがいるのだ。

いま、浴室の石鹸はなんと四つも合体しようとしており、まずいつもの石鹸(A)にふだん洗顔用に使っている毛穴汚れスッキリ石鹸の小さくなったやつ(B)をくっつけ、AB合同石鹸(AB)が全体的に小さくなったところで、足が臭くならないクリームにオマケでついていた小さめな石鹸(C)がつけられた。ところが(AB)と(C)の相性が悪く、力をこめても縁をなじませるようにしても、次に使おうと濡らしたとたんバラバラになり我々を苛立たせる。我慢できなくなった夫がついに新しいいつもの石鹸(D)を出してしまい、(AB)と(D)はぶじに同体となったが、(C)だけは変わらず誰とも相容れない姿勢を貫いている。

さもありなん(C)は飛び抜けて泡立ちがよいいのである。(C)自身もそれに自負があり、ほかのやつらと一緒にされちゃたまんねえよと思って孤高にしているにちがいない。わたしはその心意気を買い(C)ひとりをしばらくは使ってやることにした。しかし(C)がいよいよちびてきたらどうしたらいいのか。薄くちいさくなった石鹸ほど使いにくいものはなく、それだけで使い切るのは難しい。ちいさくなる前に他人と一緒に働くことも覚えてほしい。でなければ自らの職務を全うすることなく、こちらの判断で使い捨てられる未来がやってくるのだよ、とどれだけ(C)に語りかけ撫で回してやっても、ただ泡立つだけである。運命を受け入れているのであろう。

 

昨日は「ハリー・ポッター と秘密の部屋」を観に行った。

なんどかBlu-rayで観ているが、大きなスクリーンで観るとまた発見があるものだ。というか小さなテレビ(うちのテレビは新聞半紙よりすこし小さい)でしか観たことがないので、細かな造形に多くの発見がある。これがまず映画館で観たことがあり、そのあとBlu-rayを買ったとかだったら、最初に細かな造形を知っているわけだから、後から驚くということもないだろう。

秘密の部屋では屋敷しもべ妖精のドビーが初登場する。ドビーは三歳のこどもくらいの大きさで、目と耳が大きくて痩せており、全身に毛がなくボロ布をまとっている。と思っていたが「全身に毛がなく」の部分は間違っていたことがわかった。なんとあごひげがある。白髪か金髪かくらいの淡い色で、ウェーブしたちょろりひげが生えていたのだ。

だからなんだという気もするが、わたしはたいへん驚き、ドビーが出るたびにストーリーもセリフも背景もそっちのけで彼のひげばかり観察してしまった。その見た目とあまり難しいことは言わないことから、ドビーを勝手にハリーたちと同年代と思っていたが、実はけっこう年上なのだろうか。いやあれは妖精なのだから、どじょうのひげみたいなもので、男女も成長も関係なく生えてるものである可能性もある。

でも今日になって思い返してみるとひげではなく首の皺だったんじゃないかという気もしてきた。映画には五作目でもう一体だけ屋敷しもべ妖精が出てくるので、あごひげがあるのかどうかよく見てみることにしよう。