最終上映・駐輪場

映画の最後の回へ行った。

暗い中自転車を走らせて、映画館の地下の駐輪場に停めた。自転車の風が頭蓋骨に沁みる季節になってきたな。寒いと、耳の後ろの出っ張っている骨が痛くなってくる。

すこし時間があったので、近くの図書館に入る。作庭の本を眺めたあと、海外文学の棚にいくと、Twitterで伊藤なむあひさんと橋本輝幸さんが話していたジェラルド・カーシュ著 西崎憲 他訳「壜の中の手記」があったので、借りることにした。この人がおもしろいと言っている本なら読んでみたいと思う人がTwitterには何人かおり、お二人はそれに当たる。

文芸誌も読みたかったけど、もう上映時間が迫っている。

 

IMAX 3Dで期間限定上映される「ハリー・ポッターと賢者の石」を観る。

ハリー・ポッターは一本も映画館で観たことがなく、シリーズが完結してからブルーレイを買って観た。好きな映画にはいるのだと思うけど、他人に好きなんですと話したことはたぶんない。なんていうか、こう、メジャーであんまり通な感じはしないでしょう? それを好きって公言するのが恥ずかしいみたいな見栄っ張りがあるんですよ、わたしという人間は。

それから、原作のJ.K.ローリングが差別的な発言をときどきするのも気になっていて、それもあって公言しにくい。ハリー・ポッターの小説のほうでは差別についても描いているのにね。

IMAX 3Dのメガネをいつかけるか、いつも迷うが早めに装着してしまい、しばらく暗いシェードのかかったような予告を見ることになる。メガネをかけてくださいの表示が出たあと、IMAX 3Dの宣伝映像の前に、飛び出してくるカウントダウンがあるが、10から数えて7くらいまでは、わたしの目筋と脳が戸惑っていることがありありと感じられておもしろい。それを調節させるための、本編前のこの映像なのでしょう。

日本語吹き替え版(それしかなかった)だったのだが、ブルーレイでは字幕で観ていたので、声から感じとれる演技の勢いが英語とはずいぶん違うんだなあと思った。ハリーがダドリー一家になじられているとき、ひどすぎる……という感情が日本語だと容易に生まれてくる。英語で聞いていると、どこか書き言葉を読んでいるような距離感があるのだろう。

3Dにするとチェスの場面にいい迫力があった。しかし何度観ても、チェスでロンが倒されてしまうとき、壊れた駒の破片がロンのほっぺに実際に当たって傷をつけているように見える。

 

映画が終わるとまもなく駐輪場も閉まるというので急いで降りた。

いつも満車に近い駐輪場が閑散としていて、最近知った「Liminal Space」ってこれかも、と思い写真を撮っておいた。

帰りも頭を痛くしながら、暗い中を走った。