本のブローチ、紙の選定(1)

制作日誌をふだんの日記とは別に書いていくことにする。

本やzine、最近興味のあるテクニカルイラストレーションを鑑賞するために抜き出してコラージュしたものといった、ビジュアルにうったえる制作に関する記録のつもりだ。完成したものだけでなく、制作途中のものやアイディアも書いていきたい。黙々と作り、完成品をどんとお披露目みたいな制作に憧れているし、今まではそうしようと努めてきたが、いっこうに手が動かず、進捗状況を他人に見てもらいながら(あるいは見てもらっているかもしれないという緊張感を持ちながら)制作するほうがもしかしたらわたしははかどるのかもしれないので、実験である。

 

今日は六年前に作っていた豆本のブローチ(これら)を再開しようと思って中途半端に放られていた材料を取り出し、本文に使う紙を選定した。

 

f:id:saitohyuka:20211120191404j:plain

f:id:saitohyuka:20211120191411j:plain

この写真は完成に至らず、今まで放置していた表紙たちである。ブローチピンがもう付けられているのと、まだ布に表紙用の芯として薄いプラ板が貼られただけのやつとがあった。

すべてオリジナルのテキスタイルで、裏に接着剤のついた布(ゼッケンなどに使うもの)にインクジェットでプリントしてある。黒一色と赤一色のものはゼッケン用の布ではなく、白い布を自分で染めた。

以前作っていた時は、ブローチとして胸に飾ったりして外気に触れるのだから防水が必要と、本文紙も表紙も糊も防水にしたが、そんなに気にする必要があっただろうかと思えてきたので、表紙と糊はそのまま防水仕様に、本文紙は好きに色合わせで紙を選ぶということにした。小口をアクリル絵具で塗っていたが、それもやめようかと思う。売れそうな値段と釣り合わない。ちょっと手間がかかりすぎる。それともむしろ手間に合わせて値段をあげるべきか。いや、小口をきれいに塗るのは時間がかかり、思ったよりうまくいかずにやり直しが多かったので、やめたほうがいい。

こうやって説明を書いていると、細かい制作手順を思いだせることに気づいた。いい効果だ。

 

六年前、完成させたものがひとつだけ手元にある。

f:id:saitohyuka:20211120211645j:plain

これには寺田寅彦の「備忘録」から「線香花火」「金平糖」「舞踏」の三編を載せた。小口も塗ってある。これの表紙も一枚だけ残っているが、本文はあるかどうかわからない。本文はInDesignかIllustraterで作っていてpdfには変換していなかった気がするので、Adobeと契約していない今、印刷したものがみつからなかったら、これから作るものはなにかしら考えなくてはならないな。

今思い出したが、これらの豆本ブローチの本文は、ちょうどA4の紙一枚を使っていた。違う紙を使う場合、同じA4サイズを使ったとしてもその紙の厚みを考えなければ、背の厚さがすでにできている表紙で決まっているので、合わせられなくなってしまうのでは。糸でかがる以上、後から数枚追加/減数して厚み調整ということもできないし(したくないし)。同じ紙を探し出してきて作るしかないのか……なんだか面倒くさいことになってきたな。

以前作ったものを同じように再現するというのは、難しいものだ。材料は散逸し、記憶も曖昧に、たぶん技術も衰えているだろう。

 

予想以上に長くなってしまったけど、過去の自分の制作手順を思い出してきてどんどん書き留めておきたくなった。設計図を残してあるが、こうして人に説明するつもりで書いていると思い出し精度が違う。

これは予想外の効果だった。

ではまた明日からも少しずつ作っていきましょう。