ラジオ体操から人生へ

ラジオ体操を続けている。快挙!

ラジオ体操をすると、必ずと言っていいほど猫が足に絡みつき、いい顔でアキレス腱や踵を噛む。はじめはふだん動きの乏しいわたしが急に大きな動きをするから怒って噛むのかと思っていたが、顔を見ているとたぶん遊んでいるつもりなんじゃないかと思う。あまりにかわいく愉快な(しかし痛い)ので、これはぜひ動画に撮ってTwitterとかで見せたいが、わたしはいつもパジャマにものすごい寝癖で体操しているので無理である。

ラジオ体操は難しい。YouTubeで映像を見ながら真似するが、何度かやっているうちに、画面の中でお手本を見せてくれている人たちとわたしとでは、体の可動域みたいなものがまったく違っていると気づく。真似しているつもりで、画面の人ほど腕は上がっていない。よろめく。リズムに遅れる。動かしているつもりで動かしていない箇所すらある。

 

ここで突然だが、Perfumeの新曲「ポリゴンウェイヴ」のダンスプラクティスビデオ(ダンスのコピーができるようにほぼ定点から一曲を撮ったもの)を見てみよう。Perfume本人が踊っている。

youtu.be

次に、Perfumeの舞台演出を手がけているライゾマティクスの真鍋大度さんが同曲を踊った映像を見てみよう。真鍋さんはおそらくダンスというものをほとんどしたことがなく、しかしPerfumeのダンスを自分も踊ってみることで、いろいろなことがわかり、舞台演出に役立っていると話している。

 
 
 
 
 
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このふたつを見ると、ラジオ体操の見本映像の人たちと、寝癖にパジャマでラジオ体操をするわたしを並べた時と同じ印象を受けられると思う。もちろんラジオ体操の見本映像=Perfumeで、わたし=真鍋さんである。

真鍋さんが語っているように、わたしもラジオ体操を真似ることで、ラジオ体操内でどの動きが特に難しいか、見本映像の人々はどこがすごいかを体感している。ふだん他人の動きを真似るようなことをし慣れていない人は、自分の体の動きに鈍い。目の前で真似ているつもりで、ぜんぜん違う動きをしてしまう。脳内での体の動きと、実際の出力に大きな乖離があるから。

それを今まで真面目に捉えていなかった。文章や絵でも同じことが起こるのでうすうす勘づいていたが、「違い」や「できなさ」に個人の特徴がよく現れることも、そこまで意識していなかった。何度もお手本を真似て矯正しているうちに、特徴が薄れてしまうこともあるだろう。しかし消そうとするより前に特徴に気づいて、自分のための動かしかたへアレンジしていきたい。これはラジオ体操じゃなくて文章やその他の制作、そして人生について言っている。