返却期限・小さなコラージュ

何冊も並行して読み、一日でどんなに頑張っても一冊の本は20ページくらいしか進まないわたしにとって、図書館の本を返却期限までに読み終わるのは至難である。基本の貸し出し期間は二週間なので、毎日20ページ読めたとしても、280ページの本しか読み終えられない。薄めの文庫くらいのものだ。薄くても難しい本ならばなおさら無理だし、毎日読めるとも限らない。貸し出し期間を延長して四週間にしても、かえって気が緩んで数日、悪くすると一週間手をつけなかったりして、慌てて読むことになる。

返却期限が明後日に迫っている本が二冊もあるのだ。

幸い、二冊とも小説ではないので、拾い読みや読みたい話題のところを抜き出して読むこともできる。しかし両方とも1/3ほど読んでみて、けっきょく欲しい本な気がしている。買ってしまいそう。一冊は5000円以上するので、図書館の本に頼りたかったのだが、都度参照したいタイプの本だった。

よりにもよって、わたしが図書館で借りると決めた本は、「やっぱり欲しい本」であることが多い。絶版だからと借りても、その後、古本屋を漁ってしまうこともある。それとも図書館で借りるから欲しくなって、買ってしまうのだろうか。読みたいなあという憧れに留めておけば、ほしい物リストに入ったまま、死ぬまでには忘れられるかもしれない。

 

今日はコラージュをたくさん作った。

朝に、自分はテクニカルイラストレーションが好きなのではと急に気づいて、気づいてというか言語にできたというか、自分が好きなものってジャンルとして分けられるな? と突然見えてきたというか。

いろんな絵や芸術や文化やなんやかやを観てきたのに、今ようやくそこなのかと思うが、自分の好きなものを今日の朝まではそれぞれ個別に好きなつもりでいた。共通した雰囲気や一種の傾向はもちろん感じていたが、ただその一枚の絵だけが、ひとりのアーティストや作家が、ひとつの映画が、本が、好きなんだと思い込んでいたのだ。

しかし絵をたくさんスクラップブックに集めて、個々の魅力について語ることができても、それらの共通性を言葉で表現できていなかった。

とにかく、わたしはどんなものでもけっこう、説明のためのイラストが好きなようだから、手近なところから集めてみようと思い立ち、朝飲みきった豆乳、今日届いた除湿剤やゴム手袋のパッケージなどから、テクニカルイラストレーションを切り取った。

わたしはテクニカルイラストレーションを文脈から切り離し、単体のイラストとしての魅力をストックしたいと思っているので、説明文および単語はなるべく切り離した。文字は矢印で示されていることが多いが、矢印までをイラストレーションの範疇とし、外周の文字は切る。絵のなかに食い込んでいるものはそのままにした。

それらを最初はスクラップブックを一冊下ろして貼っていこうとしたが、すべてパッケージに載っているイラストだったので一つ一つが小さく、A3サイズのスクラップブックでは集合体として詰めて貼るしかない感じがし、やめた。なるべくパッケージごとに、違う紙に分けることにした。小さなカードにコラージュする感覚である。できあがったものはすべてA6くらいから名刺サイズ程度となった。

貼りこむ紙を手持ちのものから選んだり、切り取られ浮遊しているイラストを新しくレイアウトするのはとても楽しかった。毎日は無理かもしれないが、これは継続していきたい。