評価・みんなの外・梨

朝、出勤する夫とともに6時台に起きる。ちゃんと朝ごはんも食べ、洗濯もし、シャワーを浴びて身支度し、午前中のうちに家を出る。

日曜日に家に来る親は食べられるものが少ないうえ、美味しいと思うものも限定的で、外食もできないし、わたしには彼らが満足するような料理の腕もない。テイクアウトできるもので昼食の候補を考え、今日はそれを試しに食べてみるつもりだった。

ここまでするなんてちょっと神経質な気がする。

しかし、わたしは私たち夫婦が買った家を親が初めて見にくる、というこのイベントをまるで試験のように感じている。親に家や暮らしぶり、もてなしを認められ、褒められたいという欲だ。

もう40歳も近いのにまだ親の評価なんぞを気にして一週間を潰そうとしている。コツコツ読んでいたいろんな自学自習の本は脇に追いやり、やりたいことも後回しにし、すこしでも見目よくなるよう家を掃除し、食器を買い足し。

どうせ期待したほどの反応は貰えなくてつらくなるんだろうな。こどものときから変わらない。

親との昼食は高級スーパーのお寿司にすることにした。ふだんほとんど入らないスーパーの、お寿司食べようと思うときでも決して選ばない一番高いお寿司。

そもそもお惣菜を近所のスーパー以外で買うことがないので、テイクアウトの美味しいものなんて、なんのストックも持っていない。食に関して、誰かをもてなすのはすごく苦手だ。どんなジャンルでももてなしは苦手か……。

自分には大人としてのスマートさがすこしもないという自虐的な気持ちになってきたな。クソが。

 

知っている誰かの言う「みんな」にあきらかに自分が入っていないと思うことがあって、今日はそれにも精神力を削られた。

おまえが言うか? ってつっこみたい。いい加減にしてほしい。

こういうことで拗ねた気持ちになるのも大人気ない。繊細がすぎる。

 

夜に食べた、今年最後の梨がたいへんおいしかった。ありがとう、梨。ありがとう、梨を買った数日前のわたし。